Founding Purpose
私たちは、国際芸術センター青森(以下、ACAC)を活動拠点に《ACACの写真部》として、写真を中心とする映像表現を通じて、市民が自由に楽しみ、学び、交流する文化的な場を継続的に育んできました。
《ACACの写真部》は2021年に松本美枝子氏(写真家・美術家)がACACでの滞在制作のなかで行ったワークショップで、2024年度以降はACACのワークショップ・プログラムとして、2025年度まで定期的に開催されてきました。学芸員とメンバーが主体的に活動を行い、以降、撮影散策、写真集に親しむ会、他分野の表現から学ぶワークショップ、カラー&モノクロ暗室ワークショップ、写真集・ポートフォリオ制作、ギャラリーツアー、対話型鑑賞、アーティストによるトークやワークショップなど、写真や映像に関わる多彩な活動を展開してきました。
こうした活動の成果と蓄積を継承しつつ、ACAC主催の活動から市民主体の活動へと発展的に移行するため、2026年4月、Aomori Contemporary Photography Club(以下、ACPC)を設立しました。
ACPCは単なる写真愛好家の集まりではなく、表現を楽しみ、学びを深め、対話を通じてつながる「市民の文化的プラットフォーム」としての理念を掲げています。その理念のもと、今後は、ACACとの連携を軸に、他の美術館や文化施設、企業・団体等とも協働し、地域社会に開かれた協働活動を展開することで、写真・映像表現を通じた市民の芸術文化の発展と創出に寄与していきます。
Our History
2021–2023年度
萌芽期 ― アーティストの手による創造と実験
松本美枝子氏がACACの主催事業で招へいされた際に、各地で行ってきたワークショップ・プロジェクト《写真部》の青森版として《ACACの写真部》を立ち上げる。市民と写真の出会いの場を丁寧に育てた黎明期である。
アーティスト主導のもと、定例会・ワークショップ・作品制作・展示という、写真を軸とした一連の活動プロセスを経験し、今日のACPCの活動の礎が育まれた。
【活動履歴】 2021年 6月6日(日)第1回 写真の自作品などを見せ合う 7月4日(日)第2回 撮っている写真やどんな活動をしているか、自分が何に影響を受けているか紹介 8月9日(月)第3回 写真集持参でそれを見せ合う 10月16日(土)第4回 ミーティング、展示に向けて話し合い 10月24日(日)第5回 プリント 11月6日(土)第6回 プリント 12月12日(日)第7回 ミーティング 12月14日(火)第8回 プリント 2022年 3月26日(土)第9回 オンラインミーティング 4月16日(土)第10回 ミーティング 4月23日(土)第11回 プリント 5月10日(火)―15日(日)展覧会「それぞれの日常から」 6月4日(土)第12回 ミーティング、展覧会カタログ作成に向けて 8月12日(金)第13回 オンラインミーティング 9月27日(火)第14回 プリント 11月2日(水)第15回 オンラインミーティング 12月13日(火)、14日(水)第16回 ミーティング、カタログの構成など話し合い 12月17日(土)―26日(月)展覧会「遠くの日常、近くの日常」 12月26日(月)ギャラリートーク 2023年 1月31日(火)《ACACの写真部》展覧会図録発行
2024–2025年度
開花期 ― 市民の手へ、活動の多彩な広がり
ACAC主催事業への写真に携わるアーティストの参加や専門の学芸員の着任を機に、2024年度に《ACACの写真部》の活動が再開した。
これまでのアーティスト主導から、メンバー自身がアイディアを出し合い、主体的に活動する開花期への移行である。暗室ワークの勉強会・撮影会・対話型鑑賞・作家との交流・写真集鑑賞会・展覧会見学・ZINE制作など、プログラムの幅が一気に広がった。
また、写真家・岩根愛氏が随所で入り、その豊富な経験談や技術指導などを通じて活動を後押しした。ACPCというコミュニティとしてのアイデンティティが芽生えた時期でもある。
【活動履歴】 2024年 5月25日(土)岩根愛 ギャラリーツアー&トーク 6月22日(土)さまざまな写真集にふれる 7月27日(土)「小島一郎展」キュレーターツアー&中嶋幸治さんと話す会 8月10日(土)カラープリントWS(指導 岩根愛) 9月21日(土)小林美香『写真を〈読む〉視点』を読む 10月26日(土)秋の雲谷狩り 11月25日(月)対話型鑑賞 12月15日 (日)岩根愛氏とアメリカの写真集を読む 2025年 2月16日(日)ポートフォリオZINEを作る 3月22日(土)ポートフォリオZINE披露会&モノクロプリントWSに向けて 4月19日(土)春の桜狩り@合浦公園 5月25日(日)カメラと写真集の会 6月22日(日)他の表現分野から学ぶ 7月27日(日)春の写真を見る&モノクロ暗室WS準備会 8月16日(土)、17日(日) 大道兄弟トーク&スライドショー&ワークショップ「自分という本をつくる」(企画 ACAC 原田)参加 9月28日(日) モノクロプリントWS 11月1日(土)、2日(日)前谷開ワークショップ「写真になる」参加 12月21日(日)松本美枝子トーク 2026年 2月22日(日)来年度の《ACACの写真部》を考える 3月29日(日)ACPCの方針や役割を考える
2026年度–
飛翔期 ― 自立した市民団体として、新たな挑戦へ
5年間の蓄積と、松本美枝子氏・岩根愛氏から受け継いだ精神と実践を礎に、ACPCは自立した市民団体として新たな歩みを始める。
今後はACACとの連携を軸としながらも、他の施設や企業、団体との連携・協働の輪を広げ、写真・映像表現を通じた市民の芸術文化活動の発展と創造に貢献していく。
【活動履歴】 2026年 4月26日(日)ACPC 設立総会 桜を撮る @野木和公園 5月3日(日)写真家・松本美枝子氏と弘前城公園で撮影会
松本美枝子氏からのメッセージ
「作品をつくる私とあなた」『AC² [エー・シー・ドゥ] 26号』※より抜粋
《ACACの写真部》は、ワークショップとしてアーティストの私が直接関わらなくなっても、続いている唯一のプロジェクトだ。集う人たちの熱意が強かったことが大きいが、それに応えてACACが、このプログラムを複数年、継続してくれたことにつきる。公共の館と、集う人たちの信頼関係とも言えるだろうか。そのあり方は、これまで私が各地で行ってきた写真部の活動のなかでも、地域に根ざしたACACならではの成熟したかたちだと感じている。
《ACACの写真部》は、これから名前を変えて、ACACと協働しつつ地域で自走した活動を始めるそうだ。これはもう、ひとつの表現活動のはじまりなのだと思う。アーティストであっても、そう自称しなくても、作品を作っていくのは孤独な作業だ。写真を撮り続けるのも所詮は自分一人の力でやらなければいけないことだ。でもそういう孤独な作業をする人同士が寄り集まって語りあうのは、やはりプラスでしかない。お互いが、細く長く作品を作り続ける助けになるだろう。そうしてその寄り合いそのものが、やがて皆さんの作品にもなるだろう。《写真部》が私の作品であるように。

松本美枝子
写真家・美術家。1974年茨城生まれ。茨城とリオデジャネイロを拠点に活動。さまざまなテクノロジーとメディアを横断しながら 、 知覚のあり方を問い直す試みを続ける。近年は自然環境と社会構造の関係についてリサーチを重ね、地層、歴史、人間の移動などをテーマとした作品を制作。南米やヨーロッパでも撮影を行い、インスタントカメラを用いた最新作では、各国の風景の中にとどまる光を写しとるシリーズを展開している。
主な展示に、個展「具(つぶさ)にみる」(国際芸術センター青森、2022年)、トーキョーアーツアンドスペースレジデンス2024 成果発表展「微粒子の呼吸」(トーキョーアーツアンドスペース本郷、2024年)などがある。
(全文)「作品をつくる私とあなた」『AC² [エー・シー・ドゥ] 26号』 作品をつくる私とあなたに 《ACACの写真部》が始まって、6年目を迎えようとしている。来青前、どのような滞在制作を行なっていくか、というACACとの打ち合わせの中で「作品制作のほかに、松本さんがこれまでにワークショップを通してやってきたような、ACACと市民をつなぐコミュニティづくりができたらいい」という話があった。そうして2021年の春、私の滞在制作と共に始まったのが《ACACの写真部》だった。当時、館とともに思い描いたことが、その通りになって今も続いていることに、当事者ながら驚いている。もちろん、喜びを込めて。 青森のことを語る前に、まず《写真部》とは何かを説明したい。元々は水戸芸術館で高校生向けワークショップとして始めたのだが、翌年の東日本大震災をきっかけに、自分の制作の大きな部分を占めるようになった。震災後、どうやって以前のように作品を作っていけばいいのか、完全にわからなくなってしまった私自身のために、リハビリのように再開したのが《写真部》の活動だったのだ。自分の小さなランスペースに毎週集まる知らない人たちと、互いの写真についてただ語り合うことで、自然なコミュニティが出来上がっていった。この活動を通して自分もまた、いつのまにか写真が撮れるようになっていった。 その後は各地でワークショップ・プロジェクトとして開催し、17年目の今も、茨城での《メゾン・ケンポクの写真部》と、そしてここ青森の《ACACの写真部》が、地域の人たちとの協働で続いている。私にとって《写真部》とは単なるワークショップというより、形のない、長い作品シリーズだとも言える。 写真部を介して人と関わるなかでいつも驚くのは、写真作品をつくりたい、という熱意を持つ人たちが各地にいることだ。それは写真ならではの現象だと思う。実のところ写真とは、成果物のほとんどを「私」より機械が作ってくれる芸術だ。だから今この瞬間から、誰もが制作活動を始めることができるのだと、《写真部》の現場で何度も実感してきた。 そういう人たちが集まってくる場に、私が気にかけてきたことは、写真の表層的なテクニックを「教える/教えられる」という関係を作らずに、それぞれの視点を観察する場を立ち上がらせていくことだった。《ACACの写真部》でも、当時参加した人たちの年齢や経験はさまざまだったが、互いの写真を見る時間を重ねていくことで、共に作品をつくる仲間としての関係性が育っていった。例えば写真部に入ったことがきっかけで、大学卒業後にカメラ関係の仕事に就職して青森を離れ、そこで写真を撮り続け《メゾン・ケンポクの写真部》に参加している若者もいる。《ACACの写真部》には来なくなったけれど、青森で川柳を作って発表を重ねている人もいる。それぞれが、なんらかの表現活動を続け、お互いを気にかけて、緩やかにつながり続けているのだ。 そして2025年末に、《ACACの写真部》に久々にゲストトーカーとして参加したとき、写真部員だけでなく、県内からたくさんの人が話を聞きに集まってくれたことにも、かなり驚いた。それは設立メンバーの浜中淳さんと我満祥太さん、そして新しい部員のみなさんが定期的にACACに集い、学芸員の原田桃望さんと共に主体的に写真部を続けてきたからなのだと、来場者の一人一人と話してよくわかった。 《ACACの写真部》は、ワークショップとしてアーティストの私が直接関わらなくなっても、続いている唯一のプロジェクトだ。集う人たちの熱意が強かったことが大きいが、それに応えてACACが、このプログラムを複数年、継続してくれたことにつきる。公共の館と、集う人たちの信頼関係とも言えるだろうか。そのあり方は、これまで私が各地で行ってきた写真部の活動のなかでも、地域に根ざしたACACならではの成熟したかたちだと感じている。 《ACACの写真部》は、これから名前を変えて、ACACと協働しつつ地域で自走した活動を始めるそうだ。これはもう、ひとつの表現活動のはじまりなのだと思う。アーティストであっても、そう自称しなくても、作品を作っていくのは孤独な作業だ。写真を撮り続けるのも所詮は自分一人の力でやらなければいけないことだ。でもそういう孤独な作業をする人同士が寄り集まって語りあうのは、やはりプラスでしかない。お互いが、細く長く作品を作り続ける助けになるだろう。そうしてその寄り合いそのものが、やがて皆さんの作品にもなるだろう。《写真部》が私の作品であるように。
※ 出典 「作品をつくる私とあなた」『AC² [エー・シー・ドゥ] 26号』(国際芸術センター青森、2026年)
団体の目的
1. 市民の創造性を育む
会員相互の交流および関係機関との連携を通じて、記録する楽しみ、表現する楽しみ、対話する楽しみ、観賞する楽しみ、探求する楽しみ、撮影技術を磨く楽しみといった、写真や映像における多様な関わり方と多様な楽しみを醸成し、市民の創造性を育む活動を行うことを目的とする。
ACPCは、ACAC主催の《ACACの写真部》から、2026年4月、以下の趣旨のもと市民主催の芸術文化活動団体へと移行しました。
2. 地域の芸術文化振興への寄与
アーティストや専門家との交流、展示企画への協力、ワークショップの共同運営などを通じて、専門的知見と市民の創造性を結びつける媒介的な役割を担い、地域における芸術文化の振興に寄与することを目指します。
活動内容
・地域に根ざした撮影イベント・撮影会の実施
・表現活動の発表の場づくり(印刷物、展示会、メディア発信等)
・写真技術向上のためのワークショップや勉強会の開催
・ギャラリーツアー、展覧会見学、対話型鑑賞、写真集鑑賞会の企画
・作家、専門家、会員間の交流活動
・美術館・文化施設・企業・団体等との協働活動
・その他、本団体の趣旨に付随する活動
活動体制
顧問
代表
副代表
正会員
特別会員
賛助会員
パートナー
我満祥太
濱中淳
米田剛
(非公開)
活動拠点
青森県青森市合子山崎152-6 国際芸術センター青森 内